電子音楽にハマったきっかけを思い出す。
昨日の夜中、昔からの友人が僕の家を訪ねてきた。
すぐに済む用事だったが、成り行きで僕の部屋でおしゃべりをすることに。
大学生活について、ゲームについて、オススメの曲、バンド、フリースタイルラップについて…いろんなことを話した。
結局、夜もすがら話し込んでしまい、気付けば朝4時で、心臓がばくばく音を立てていたのを覚えている。
その会話の中で、僕は友人に向かって、
「僕の音楽の趣味もここ何年かですっかり変わったな〜」
と口走った。その時、はっとして勉強机の左隅にいつでも横たわっていたとある本の存在を思い出した。
それがこれだ。
カワイイVOICE! 【CD-ROM付】 (ヤマハムックシリーズ188)
このムック本は、いわゆるkawaii future bassについてまとめたものである。
いかにもナードに向けたテーマであることが、表紙の可愛らしいイラストから痛いほど伝わってくる。
実は、この本がきっかけで、僕は電子音楽の世界に深く入り込むことになる。
この本との出会いは1年前に遡る。
僕が大学生になりたてで、本屋でバイトをしていた時に、棚に並んでいたのをたまたま見つけたのだった。
当時の僕は、future bassのことが好きではあったが、それに関する知識は全く持ち合わせていなかった。そもそも、ごくたまにしか聴かなかった。
聴いていた楽曲は、Youtubeにアップされているノンストップミックスばかりであり、アーティスト名から曲名まで、ほとんど何も知らなかった。
なんとなく、future bass=ちょっとアングラな面白い音楽 という認識でしかなかった。
「へえ、future bassの雑誌なんてあるんだ。一回読んでみようかな」という軽い気持ちでその本を購入した。
様々なコラムがある中で、一番僕の目を引いたのは、
"トラックメイカー Ryu☆、kors k、YUC'eらによる対談記事"だった。
当時、僕はその3人のことを全く知らなかったが、その記事を丁寧に読んでいった。すると、出てくる単語はことごとく聞き慣れないものばかり。
yuigot、Yunomi、Moe Shop…読み進めながらパソコンで検索していくと、なるほど、この人たちが今のfuture bassのシーンの最前線にいる人たちなのか、次々に知識が深まっていく。
そして、Sound CloudとMaltine Recordsというワードに触れた際、世界が一気に広まる。
言わずもがな、Sound Cloudは世界最大の無料音楽サービス。そのリコメンド機能は恐ろしく発達しており、聴く曲には困らない。
Maltine Recordsは有名ネットレーベル。様々な大物アーティストを生み出していて、あらゆる楽しい音楽がスマホからも楽しめる。
この二つにハマった僕は、貪るようにして電子音楽を聴きまくることになる。
それ以前まで、邦ロックばかり聴いていた僕は、あらゆるジャンルの電子音楽に心を躍らし、音楽のことをもっと好きになる。
さらにこの『カワイイVOICE!』にはfuture bass制作用のCD-ROMが付録として付いてきた。実際に音楽を作り始めるのは、この雑誌を買ってから1年後であるが、収録されているオーディオ素材は、僕が作った楽曲の様々な部分で使われている。
この本は定価1944円だったが、僕にとってはその値段の何百倍、何千倍もの価値がある。
この本のおかげで、今の僕が形成されているのだ。
ということを思い出した。